がんになった人の再発防止食品はないが、健康な人のがん予防のための食事はある

がんを経験した人の中には、藁にもすがるような気持ちで、少しでもがんをやっつけることができるような食材はないか、あるいは再発の可能性を下げるような食材はないか、探したくなる人もいます。私自身もそうでした。

でも、国立がん研究センターの公式サイト（2018年2月8日時点）は、がん体験者の食事について米国対がん協会ガイドラインを紹介し、「現時点においては、がんの再発率や生存率を改善することが科学的に十分確認された、食事療法、サプリメント、健康食品は存在していません」と明記しています。

一方で同サイトでは、がん体験者ではなく健康な人向けの、がん予防のための米国対がん協会の2012年ガイドラインとして、健康体重の維持、運動、飲酒量制限に加え、「植物性の食物に重点を置いた、健康的な食事をとりましょう」と呼びかけています。

具体的には、加工肉（ベーコン、ハム、ソーセージなど）や赤肉（牛肉や豚肉など。鶏肉は含まない）の摂取を少なくし、毎日2.5盛り以上の野菜と2.5盛り*以上の果物を食べ、精製穀物製品（白米、白パンなど）の代わりに全粒穀物（玄米、黒パンなど）を選びましょう、と呼びかけています。

*1盛りの例として、1個の新鮮な果物（中くらいの大きさのリンゴなど）、250ml相当の生の葉物野菜、125ml相当の調理野菜など、としています。

もっとも、がんサバイバーに対しても、（がんの再発率などの改善効果は確認されていないものの）体重維持、運動に加え、健康な人向けの上記の食事パターンに従うことを勧めています。この点、言われなくても、多くのがん経験者は、がんが見つかる前よりも食生活や生活習慣に気配りするようになっています。

がん予防が期待できるとされた野菜・果物など

1990年に米国の国立がん研究所（NCI）が「デザイナーズフーズ計画」（植物性食品成分によるがん予防）を始めるにあたって、がん予防に効果が期待できるとした40種類の野菜・果物・香辛料などの食品を公表し、世の中の注目を集めました。

そこで重要性の度合いのピラミッドの3段階の最上位グループに位置付けられていたのが、ニンニク、キャベツ、大豆、カンゾウ、ショウガ、人参、セロリ、パースニップでした。

その次の中位グループには、タマネギ、茶、ターメリック、玄米、全粒小麦、亜麻、オレンジ、レモン、グレープフルーツ、トマト、ナス、ピーマン、ブロッコリー、カリフラワー、芽キャベツがありました。

下位グループには、マスクメロン、バジル、タラゴン、カラス麦、ハッカ、オレガノ、キュウリ、タイム、アサツキ、ローズマリー、セージ、ジャガイモ、大麦、ベリーがありました。

ただし、その後この計画はなくなりました。

2009年の「日本食生活学会誌」の「がん予防と食品―デザイナーフーズからファンクショナルフーズへ―」のペーパーを見ると、上記の米国の「デザイナーズフーズ計画」にはなかったゴボウ、春菊、シイタケ、エノキ、マッシュルーム、キクラゲ、ヒジキ、ワカメ、コンブ、インゲン豆、オリーブ、ゴマ、シソ、ココアなども、がんをはじめとする生活習慣病の予防が期待できる食品のリストに含まれています。

要は、最初に取り上げた国立がん研究センターの公式サイトが呼びかけているように、毎日野菜や果物を食べて、全粒穀物を選ぶようにしましょう、ということです。

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