去就が注目されていた、ロシアのフィギュアスケート平昌五輪銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワ選手（18）が、羽生結弦選手（23）と同じブライアン・オーサー氏に師事することを、ロシアスケート連盟を通じて正式に発表した。
以下は、icenetworkのニュース記事のポイントと、筆者の感想などだ。
韓国のアイスショーの際に、メドベージェワ母娘と面談
オーサー氏は五輪後のコーチ変更はよくあることだから、自分のところにもどこかの選手から問い合わせがあるだろうとは思っていた。しかし、4月2日にメドベージェワ選手からメッセージが届いた時には「本当に驚いた」そうだ。
当初メドベージェワ選手は自分が出演し、オーサー氏が支援し出席する4月下旬の韓国での「LG ThinQ Ice Fantasia」開催の際に、プライベートでミーティングをしたいと要望してきた。
4月22日に韓国・ソウルのメイフィールド・ホテルで、オーサー氏はメドベージェワ選手とその母親と面談した。その際、メドベージェワ選手が「現在のコーチの状況について何も悪口を言いたくない」と話したことで、オーサー氏は彼女を大いにリスペクトするに至った。
トゥトベリーゼ・コーチは教え子が去ったとニュースで知った
一方、メドベージェワ選手が11年間師事したエテリ・トゥトベリーゼ女史は、5月6日（日）にロシアのテレビに対し、ここ何週間、メドベージェワ選手に送ったメッセージに返答がなく、彼女が自分の元を離れることをニュースで知った、と述べた。
また、トゥトベリーゼ・コーチは、メドベージェワ選手が平昌五輪で悲嘆に暮れながら言った言葉を明かした。「本当に子供っぽいことを言いました。『アリーナ（・ザギトワ選手）をあと1年ジュニアのままにしておけなかったんですか？』と。私は、誰にでも平等にチャンスを与えなければならない、と言いました」
ロシアスケート連盟のサイトのメドベージェワのコメントには、トゥトベリーゼ・コーチのチームに対する感謝が述べられていた。ただし、「時間が経てば、これが私達双方にとって正直であり続けるための唯一の選択肢であると、誰もが理解してくれると思っています」とも述べていた。
ロシアの選手養成学校に籍を残したまま拠点をトロントに移す
メドベージェワ選手は、今後もロシアおよびこれまでの所属先のSambo-70スケーティングクラブに籍を置いたままにしておくそうだ。
こうしてロシアの選手の地位を維持しながら、オーサー氏のいるトロント・ｍ・スケーティング・アンド・カーリング・クラブで指導を受けることになる。オーサー氏によると、6月末にメドベージェワ選手は母親と共にトロントに練習拠点を移す見込みだ
オーサー氏は羽生選手にはメドベージェワ選手がトロントに移って来るかもしれないと知らせていたという。オーサー氏は、メドベージェワ選手が決断する前に、羽生選手とフェルナンデス選手に彼らのオーサー氏との経験について尋ねるかもしれないと考えていた。
オーサー氏はメドベージェワ選手と、音楽や方向性について議論した。メドベージェワ選手はこれまでそういう経験がなかったそうだ。
メドベージェワ選手は、自分の目標がオリンピックで優勝することだと言った。オーサー氏はメドベージェワ選手が競争心に燃えていて、頼もしく、かつての門下生のバンクーバー五輪金メダリストのキム・ヨナのようにとても我が強い、と述べた。
課題の一つはメドベージェワ選手のトリプルルッツの踏切エッジ違反で、オーサー氏は「簡単なことではない」としつつも「彼女は変えることにオープンでいる」と述べた。
メドベージェワ選手はトロントのクラブで、オーサー・コーチ、トレイシー・ウィルソン・コーチ、振付師のデイビッド・ウィルソンのチームから指導を受けるそうだ。
ただし、オーサー氏はメドベージェワ選手が足の怪我と背中の問題でまだリハビリが必要と考えており、彼女がトロントに来て2週間氷の上に立たなくても構わないという。
エテリ門下ではトップ扱いされない、羽生選手にも相談か？
上述のように、メドベージェワ選手自身はエテリ・トゥトベリーゼ女史への不満を語るのを控えたが、トゥトベリーゼ・コーチが示唆したところでは、後輩の有望な選手が出てきたことへの焦りがあったようだ。
同門には、平昌五輪金メダリストのアリーナ・ザギトワ選手がおり、ジュニアには4回転ジャンプができるアレクサンドラ・トゥルソワ（トルソワ）選手も控えていて、もはやメドベージェワ選手はナンバーワン扱いしてもらえそうにない。
今回のコーチ変更に当たっては、オーサー・コーチ自ら羽生選手にメドベージェワ選手が来るかもしれないと先に伝えており、メドベージェワ選手が羽生選手にアドバイスを求めた可能性も十分あるだろう。
元々、羽生選手もメドベージェワ選手もアニメ好きで話が合って仲良しだったから（メドベージェワ選手が公開した2ショット写真）、今後さらに両選手の友情が深まるのではないだろうか。羽生ファンは気を揉むかもしれないが。
羽生選手も日本からお母様が同行しており、メドベージェワ選手も母親と一緒に引っ越すことになるから、家事や栄養管理は万全だ。