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グランプリ・ファイナルで宇野昌磨は惜しくも2位、優勝はネイサン・チェン

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2017年12月7~8日に名古屋のガイシホールで開催されたグランプリ・ファイナルの男子シングルでは、米国のネイサン・チェン選手が総合286.51点で優勝し、2位は僅か0.50点差で286.01点の宇野昌磨選手だった。3位はロシアのミハイル・コリヤダ選手の自己ベストの282.00点だった。

宇野選手は惜しい結果に

宇野選手はショート・プログラムでは、まさかの制限時間オーバーで1点減点という、もったいないミスをした。フリー終了後のインタビューで、宇野選手は「いつも出だしが遅いのに、音楽に反応しちゃって、早く動き出してしまった」「(1位と)0.5点差、マイナス1点で順位が変わってしまった。順位は僕の責任。タイムオーバーも僕のせい。(フランス杯後に編曲し直したコーチの樋口)先生じゃなく、僕をせめて欲しい」と語った。

宇野選手はショートの演技では、後半のトリプルアクセルで転倒した。それでも、4回転フリップと後半の4回転トウループ-トリプルトウループの連続ジャンプを成功させ、ショートの得点は100点超えの101.51点(技術点57.04点、演技構成点46.47点、減点2.00点)で、2位発進となった。

フリーでは4回転ジャンプを5回跳ぶという果敢な挑戦をしたものの、そのうち4回転サルコウと4回転フリップは加点をもらえたが、残りの3つは減点となった。冒頭の4回転ループは回転不足と転倒になった。後半の4回転トウループは1回目は両足着氷で予定していた連続ジャンプが付けられず、2回目は回転が足りずダウングレードされ、着氷も乱れた。

最後のトリプルサルコウは連続ジャンプの予定だったが、同じジャンプの跳びすぎで無効になると勘違いして自ら単独ジャンプに変えるという、もったいない得点伸び悩みとなった。結果、フリーは184.50点(技術点94.14点、演技構成点91.36点、減点1.00点)で1位だったが、総合では286.01点でネイサン・チェンに0.50点及ばなかった。また、スケートカナダでの301.10点を約15点下回った。

日本のエース・羽生結弦選手がケガでグランプリ・シリーズ2戦目から欠場し、ビッグタイトルが獲れるチャンスではあったが、結果的には惜しくも0.50点差で2位となった。それでも宇野選手は、終わってどこかほっとした表情を見せていたから、羽生選手不在の中、1人で日本男子シングル代表の重責を負って出場したプレッシャーが相当あったのだろう。

なお、宇野選手の地元の名古屋で開催のグランプリ・ファイナルということで、貴賓席らしきセクションには、近年海外遠征には同行しなくなった山田満知子コーチと元教え子のアルベールビル五輪銀メダリストの伊藤みどり元選手の姿もあった。

平昌五輪代表枠は、男子シングルは3枠あるが、羽生選手と宇野選手は“当確”との見方が多い。1人目は12月20~24日に東京・武蔵野の森総合スポーツ施設で開催される全日本選手権の優勝者で即決する。2人目は全日本2、3位かつグランプリ・ファイナル上位者だから、今回のグランプリ・ファイナルで宇野選手が2位という成績を収めたことは代表選考の追い風となる。

ネイサン・チェン選手は超高難度プログラム

4回転量産型のネイサン・チェン選手は、元々今回宇野選手と優勝争いをするとみられていた。ショートでは、4回転フリップで小幅減点となり、他の2つのジャンプも大きく加点が付くほどの大成功には至らなかった。

それでも、ごくわずかな加点に終わった冒頭の4回転ルッツ-トリプルトウループは、基礎点だけでも17.90点と極めて高い。結果、ショートは103.32点(技術点58.14点、演技構成点45.18点)で、2位の宇野選手に約1.8点の差をつけての1位発進だった。

フリーでは4回転を5回跳んだが、加点が付いたのは冒頭の大技・4回転ルッツ-トリプルトウループと後半の4回転トウループの3連続ジャンプの2つだった。残りの3つは減点され、後半の4回転ルッツは回転不足、4回転トウループは回転が足らずダウングレードだった。また、サルコウは回転が抜けて2回転で終わった。

結果的に、フリーは183.19点(技術点95.75点、演技構成点88.44点、減点1.00点)で2位となったが、総合では286.51点で優勝した。

平昌五輪の優勝争いは複数の4回転ジャンプの成否次第

4回転量産の高難度プログラムに挑む選手は、全て成功すれば超高得点になるはずだが、なかなかそうもいかず、失敗すれば最悪怪我をするこそすらある。ネイサン・チェン選手は、中国のボーヤン・ジン(金博洋)選手と並んで、4回転量産型の代表格で、ボーヤン・ジン選手よりも表現力に優れている。

今回グランプリ・ファイナルで優勝したことで、全米選手権の結果を待たずとも、ネイサン・チェン選手が平昌五輪に出場するだろうとの観測が強まりつつあり、4回転ジャンプの成功率が上がれば金メダル候補となる。このため、羽生選手や宇野選手も、複数の4回転ジャンプの成功率を上げて行かざるを得ない。

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