フィギュアスケート

女性鬼コーチ―宮原知子を育てた濱田美栄氏とロシアのエテリ・トゥトベリーゼ氏

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3月4日の毎日放送・TBS系「情熱大陸」で、フィギュアスケート女子シングルの平昌五輪4位入賞の宮原知子選手のコーチの濱田美栄氏の特集があった。

番組が紹介していたように、濱田コーチは2017年末の全日本選手権で上位10位の女子選手のうち4人(宮原知子、紀平梨花、本田真凜、白岩優奈の各選手)のコーチを務めている。凄腕コーチだ。

濱田コーチは自身の現役時代の成績は全日本選手権の10位が最高だったが、オリンピックで4位入賞の選手を育てることができた。最高のパフォーマーが最高の指導者になれるわけではない。濱田氏はコーチ職が天職だったのだ。

多くの教え子たちは濱田氏を厳しくて怖いコーチと思っているそうだ。実際取材映像でも濱田コーチが関西弁で厳しい言葉で選手を叱っているような場面もあった。それでも、右足で踏み切り右足で着氷するループジャンプを重視して、真っ直ぐな軸を会得させ基本を徹底させるなどの指導法が、結果的に成功している。

また、本田選手の振付依頼でカナダの一流振付師を訪問した際には、本田選手とコンドミニアムで共同生活をして、まるで親代わりのように料理をしていた。遠征中の未成年の教え子の生活すべての責任も負っていて、教え子との間に揺るぎない信頼関係や絆が確立されているのが伝わってきた。

厳しい「鉄の女」のエテリ・トゥトベリーゼ女史

フィギュアの厳しい女性コーチと言えば、もう1人思い浮かぶのが平昌五輪の金メダルのアリーナ・ザギトワ選手と銀メダルのエフゲニア・メドベージェワ選手のコーチである、エテリ・トゥトベリーゼ女史だ。

この人は「鉄の女」と呼ばれている。2014年のソチ五輪でロシア代表で団体金メダルに貢献した「キャンドル・スピン」で知られたユリア・リプニツカヤ選手も、トゥトベリーゼ女史の門下生だったが、訣別することになった。

リプニツカヤ選手はトゥトベリーゼ・コーチに不満を抱くようになったが、グランプリ・シリーズのフランス大会に同じチームの別のコーチと一緒に行きたいと、直接トゥトベリーゼ氏に言えず、ロシアのスケート連盟を通じてトゥトベリーゼ氏に伝えてもらい、すっかり関係がこじれた末に、別のコーチの元に移籍した。その後、摂食障害を患って2017年に引退した。

ザギトワ選手は2017年12月のグランプリ・ファイナルの時のインタビューで、2015年に12歳でトゥトベリーゼ・コーチのチームに入ったばかりの頃は、とても怖い存在だったと振り返っていた。

トゥトベリーゼ・コーチはクールに見える。特に、平昌五輪では門下生のザギトワ選手とメドベージェワ選手が頂上争いをしていたせいか、キスアンドクライで驚くほどの高得点が出ても、トゥトベリーゼ・コーチは微笑む程度で、大喜びや大はしゃぎするような場面はなかった。

2008年から10年間指導を続けてきた18歳のエフゲニア・メドベージェワ選手が2015年に教え子になってまだ3年に満たない15歳のザギトワ選手に敗れた瞬間、トゥトベリーゼ・コーチは無表情で、泣いているメドベージェワ選手の肩に黙って手を置いていた。

トゥトベリーゼ・コーチはチーム内に不和が起きないよう教え子には「ライバルを尊敬するように」と教えていたという。平昌五輪の表彰式で、トゥトベリーゼ・コーチがザギトワ選手とメドベージェワ選手を抱きしめている3ショット写真はいい画だった。

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