フィギュアスケート

フィギュア国別対抗戦および2018~2019シーズンを終えて印象に残ったこと

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世界フィギュアスケート国別対抗戦が、2019年4月11~13日にマリンメッセ福岡で開催された。結果は1位がアメリカ、2位が日本、3位がロシア、4位がフランス、5位がカナダ、6位がイタリアだった。

意外だった。日本がロシアより上の順位だなんて、凄くないか?

ペアとアイスダンスは参加国中最下位だったのに、男女ともシングルが強かった。絶対的エースの羽生結弦選手が不在だったのに。

ただし、男子のショートとフリー、女子のショートとフリーの4つのカテゴリーで、1位になって12点を稼いだのは女子の紀平梨花選手のみで、男子シングルの括りで見ると1位と2位のみのアメリカが圧倒的優位というのはあった。それでも、男女シングルを平均的に見れば、日本は強かった。

紀平梨花選手は、ショート・プログラムではトリプルアクセルで出来栄え加点2.86点獲得など完璧で、世界最高の83.97点をマークした。しかし、周囲が大騒ぎしたせいか、フリーは気負ってしまった模様で、2回転倒した。ジュニアの頃はあまりプレッシャーは感じないタイプの選手だったようだが、年齢を重ねて注目や期待が多くなってくると、どうしても意識せざるを得なくなるのだろう。浅田真央さんの現役時代を思い出してしまった。

エリザベータ・トゥクタミシェワ選手は、ショートのトリプルアクセルで出来栄え加点2.29点、フリーのトリプルアクセルでも出来栄え2.40点の加点を得て、ベテラン女子選手でも大技ができると実証し、凄みを見せた。

また、トゥクタミシェワ選手のエキシビションでの妖艶な演技が再び話題になった。以前彼女は、フィギュアスケートに男性客を呼び戻したいんだとか、うそぶいていた。実力がない人がそんなことを言っても相手にされないが、彼女だからウケた。彼女にしかできないことを、競技でもショーでもやってくれる、唯一無二の存在だ。

坂本花織選手はショートで会心の演技で76.95点だった。フリーはトリプルルッツの踏切エッジの不明瞭の減点などもあったが、後半は挽回して146.70点だった。ショート・フリーとも世界選手権のスコアを超えて、シーズンベストで締めくくった。

宇野昌磨選手はジャンプのミスはあったが健闘した。羽生選手不在で、プレッシャーを感じただろうか。ショートもフリーも、アメリカのネイサン・チェンとヴィンセント・ゾウ(ジョウ?)の両選手にかなわなかったが、宇野選手がどうこうではなく、アメリカの2人が凄すぎた。

2018~2019シーズンで印象に残ったこと

以下、1フィギュアスケートファンとして、2018~2019シーズンで印象に残ったことを幾つか書き留めておく。

羽生結弦選手が世界選手権で優勝できず、2位に終わった。もちろんまだ世界のトップを狙えるが、オリンピック2連覇の偉業を成し遂げた後、世代交代を予感するようになると、モチベーションはどうだろう。もっとも、五輪王者のままカッコよく引退したくても、連盟は、簡単に認めないだろう。凄まじい人気の羽生選手の集客力を手放したくないはずだ。ジュニア世代にまだ次世代スター選手が出現していないから、羽生・宇野両選手の重責が続く。

ネイサン・チェン選手が世界選手権で異次元の強さで優勝した。採点方法が変わって、ジャンプの数よりも出来栄えが重視されるようになったはずだった。しかし、結局のところ、さまざまな4回転ジャンプが完璧に跳べるネイサン・チェン選手が、突出した強さを見せた。しかも、イェール大学という難関大学に通いながら、文武両道を達成していて、凄すぎる。

女子の4回転時代が予想外に早く始まった。世界選手権で、カザフスタンのエリザベート・トゥルシンバエワ選手があっさりと4回転サルコウを成功させ、シニア女子は新局面入りした。それ以前から、ジュニアには4回転少女がいることが分かっていたが、「女子選手は成長すると体型が崩れて、ジュニアでは跳べていた4回転が跳べなくなる」との定説があっさりと崩れた。この4回転時代到来は、日本の女子選手には悩ましいかもしれない。

紀平梨花選手が初参戦にして、グランプリ・ファイナルを制した。トリプルアクセルが成功するかどうかでスコアが大きく違ってくるので、プレッシャーに負けない強靭な精神力を保つことが大事になってくる。しかし、トリプルアクセルと表現力が武器の紀平選手に世界トップになって欲しいと、日本中からプレッシャーをかけられることは避けられそうにない。大変だ。

高橋大輔選手が現役復帰した。ファンには嬉しい限りだし、お金持ちマダムたちの人気も絶大だから、高橋選手の集客力を、連盟も歓迎しているだろう。ただ、全日本選手権で2位になれたのは、もちろん高橋選手の実力のおかげではあるが、羽生選手の欠場という棚ぼたに加え、若い世代で頭角を現す選手が見当たらないという現実もあった。

最後は余談。フィギュアスケートの選手生命は比較的短命で、元五輪日本代表選手といえども、人生いろいろだ。筆者がフィギュアスケートに関心を持つきっかけとなった町田樹氏は、2度目の引き際の美学を実践し、突然アイスショー出演からも引退してしまった。

一方、対照的に現役引退時にタイミングを見誤ったかもしれなかった村主章枝氏は、今度は社交ダンスで世界を目指すことを決意した。

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