「緑内障」という言葉を聞いたことはありましたが、高齢者の目の病気らしいという程度の認識しかありませんでした。まさか自分が40代のうちから、その症状に見舞われていたのだとは、長い間気づきませんでした。
厚生労働省研究班の調査によると、緑内障は、我が国における失明原因の第1位を占めています。しかも、日本眼科学会の公式サイトによると、40歳以上の日本人には、20人に1人の割合で緑内障の人がいるそうです(2018年1月12日時点の公式サイトの記述)。
しかし、普通に暮らしている人たちは、実際に緑内障にかかっていたと知る前の私も含め、緑内障がそんなに恐ろしくかつ身近な病気であるとは知りません。
視野検査での異常を無視してしまった
私の場合、後になって気づいたのですが、最初の兆候は、会社の近くの眼科で突然「視野検査」なるものを受けるように指示された時にあったのです。
私がその眼科クリニックを受診したのは、ものもらいのためだったと記憶しています。受診理由に関わらず、眼科に行くと、大体視力検査をさせられます。さらに、40歳くらいからは、人間どっくで眼圧も標準メニューとして検査させられるようになっていました。しかし、人間どっくの眼圧測定で、何か問題が指摘されたことは、一度もありませんでした。
なぜ自分が眼圧検査だけでなく、視野検査も受けなければならないのか、その時の女医さんは何も説明してくださいませんでした。視野検査が緑内障に関わるものだとは、当時の私な全く知りませんでした。
視野検査は実施するのに20分くらいはかかりますので、予約制で面倒でしたが、言われるままに予約を入れて、受けてみました。片目ずつ、小さな光が見えたらボタンを押す、というやり方の検査でした。小さな光は視野の上のほうや下のほうや、右端や左端や、いろんなところに現れましたが、視点は真ん中に維持していてください、という難題を突き付けられました。はっきり言って、とても疲れる検査でした。
検査が終わると、光があったのに見えていなかった箇所があります、と指摘されました。何か問題があるという意味なのかな、と思いましたが、その時私が咄嗟に言ったのは、「睡眠不足なので、上手く検査ができなかったかもしれません」という言い訳でした。
すると、女医さんは再検査してください、とおっしゃいました。また、検査予約をして、クリニックに来て20分間ほどの検査を受けなければなりません。しかし私は、面倒だと思い、「予定が分からないので、分かったらお電話します」と言って、帰りました。
そして、2度とそのクリニックに電話することも、受診することもありませんでした。これは、後悔すべきことでした。ただ、言い訳になりますが、その時女医さんが「あなたは緑内障の疑いがあります」と言ってくださっていたら、ショックを受けて絶対に再検査を受けていたと思います。そんな重大な病気の疑いがあるとは、夢にも思っていませんでした。
2年後に視野検査を受けて、緑内障と診断
その次に私が眼科を受診したのは、2年以上経ってからでした。この時は以前勤めていた会社は辞めていて、自宅から比較的近い眼科クリニックに行きました。受診理由は、目の中にゴミが入ったのが気になったからでした。
初めて行く眼科クリニックでしたから、視力検査と視野検査がありました。目にゴミが入った件は、特に問題にはならなかったのですが、視野検査をするように言われました。
ああ、あの苦手な視野検査だ、と思い出しました。その眼科クリニックはその時さほど混雑していなかったので、その場で視野検査を受けました。そして、結果の画像を見せて頂くとともに、宣告されました。
「右目の下のほうの視野が欠けています。緑内障です」
ショックでした。緑内障が何であるか、そして、緑内障で失った視野を取り戻すことができないということを、その時初めて知りました。
治療法はというと、毎日目薬を差して眼圧を低位安定させて、緑内障の進行を防ぐことだ、と説明されました。その日から、毎日目薬を差すことが日課になりました。これが一生続くわけです。
緑内障は視野検査の結果で(あるいは最新設備の整った眼科だと視神経の状態を探れる特殊な機器で判断されて)、初めて分かるものであり、私のような素人には自分が緑内障かどうか知る術はありません。
日本眼科学会の公式サイトによると、日本人の平均眼圧は14.5mmHgで、正常の眼圧は10~20mmHgということです。確かに、私の眼圧はこの上限近くではありましたが、明らかに上限を超えていたわけでもありません。しかし、同サイトによると、眼圧が正常範囲であっても緑内障になっている人が、患者の過半数だそうです。
眼圧は、1日の間でも時刻により変動するそうで、お医者さんによると起床直後の朝が高い傾向があるということです。また、日本眼科学会の公式サイトでは、眼圧は冬季に高いと書いてあります。だったら、たまたま測定した季節や時間によって、眼圧が上がっていたり下っていたりして、一喜一憂しても、仕方がないのかもしれません。
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